1) 骨の種類と働きについて
・種類
・特徴
・働き
2) 骨はどのようにしてできているか
・骨の3大条件
・毎日の生まれ変わり
・骨の成長・成長点
3) 骨の病気と骨折について
骨そしょう症
成長痛
疲労骨折
その他の骨折
4 骨を丈夫に保つには
・食事の工夫
・運動
・糖尿病の予防

1)骨の種類と働きについて
種類
私たちのからだの“骨組み”をなしているのが骨格系です。おもな骨だけでも200個余り、そして骨の形から5種類あるといわれています。それらの骨がきちんと配列され連結しあって、いわゆる人間の骨格系が形成されています。
特徴
人間の骨は他の動物と比較していくつかの特徴があります。
・大腿骨が発達していること
・手足の指の長いこと
・脊椎がS字状に曲がっていることで頭部の重さを分散して支えていること等
働き
骨は体を形成する以外にも、いくつかの重要な働きをしています。
・内臓の保護 (頭蓋骨は脳、肋骨は心臓、肺を骨盤は生殖器など)
・カルシウムの貯蔵 (約97%を貯蔵し、日々出し入れを行う)
・骨髄での造血作用 (血液の成分である赤血球、白血球、血小板など)
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2)骨はどのようにしてできているか
骨の3大条件
・強くて丈夫
・軽い
・変化、成長する
骨は人間の体重を支えながら歩いたり跳んだりするために強くて丈夫でなければなりません。またいくら丈夫でも重たくては身軽な活動ができないため軽さも必要です。そのために骨の中が蜂の巣状に空洞で、骨の壁の厚さは両端部より中央部の方が厚くできています。つまり骨は十分な強さを維持しつつ変化し成長しているのです。
毎日の入れ替わり
骨の中では、毎日古い骨から新しい骨へと生まれ変わっています。血液や皮膚と同じように新陳代謝が行われています。この骨代謝は、骨芽細胞によって骨が作られ、破骨細胞によって骨がこわされていくという形成と吸収の2つの活動によって成り立っています。この2つの活動は密接に関係しながら働き、このサイクルにより、より良い状態をキープしようとしているわけです。1つの骨が全く新しい骨に変わるのには3〜4ヶ月、全身の骨は約3年でまったく新しいものに入れ替わります。
骨の成長・成長点
私たち人間の骨は全部で206本ありますが、赤ちゃんの時には約350本もの骨が認められています。骨といっても分離骨といわれ長い時間をかけて一部つながりあって成人した段階で206本になります。骨の成長が終わるのは女性で約15〜16年、男性で約18年かかるといわれています。身長の伸びは、10歳ころまでは1年に約6Cm、思春期の初期(男子は10.5から14歳、女子は10〜13歳)になると1年に6〜8CM、青年期中期(男子は12〜14歳、女子は12.5〜15歳)になると最も急激な成長を遂げる段階で女子で約8CM、14歳の男子で約10CMも伸びます。この急激な骨の変化(身長の伸び)は骨端プレートと呼ばれる長骨(上腕骨や大腿骨のような棒状の骨)の両端にある薄い軟骨の層での骨細胞の分裂による成長によるものです。この成長ゾーン(骨端プレート)も、個人差はありますが約16〜18歳を過ぎる頃には閉じられていきます。 
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3)骨の病気と骨折について
骨そしょう症
※別コーナーにて特集しています。
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成長痛(骨端症)
成長期に起こる代表的な障害として成長痛(骨端症)があります。トレーニングをしすぎたり能力に見合わないトレーニングをすると、体を酷使することになり、つかい過ぎ症候群を招きます。使いすぎ症候群が進むと成長痛(骨端症)を引き起こします。これはランニングやジャンプをくりかえすことによって関節にストレスがかかり、骨端への血液供給が損なわれてしまうことによって起こる障害です。しかし、足部の正しい位無理のない歩き方やランニングが身についていれば障害は起こりません。成長痛はスポーツをしていれば誰にでも起こるという認識は間違っています。代表的なものとして次の3つがあります。
@オスグッド・シュラッテル氏病
 脛骨の成長部(骨の末端に近い部分)に起こる骨端症で、膝頭の下が5〜7cmくらいの範囲でコブのように腫れ上がります。成長期をすぎれば治りますが、それまでは強い運動は避けたほうがよいと思われます
Aレッグ・ペルテス病

 大腿骨頭の起こる骨端症です。小児期、48才にみられるほか、マラソンなどによって起こる場合もあります。股関節と大腿骨に痛みを感じ、膝の痛みを訴えて、片足を引きずって歩くこともあります。場合によっては12年間、運動をやめなければなりません

Bケーラー症
 足の甲部分に起こる骨端症です。ランニングやジャンプの量が多いと起こりますが、ほとんどの場合、6〜8週間で回復します。固定することが大切です。
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疲労骨折

ふつう骨折といえば、ぶつかる、転ぶという外的衝撃によって骨が折れることを想像します。ところが疲労骨折とは、ランニングやトレーニングなど長期にわたって物理的なストレスが蓄積された結果、ある個所の骨にひびが入ってしまうことを言います。言い換えれば疲れがたまると筋肉が疲労して直接骨や関節に衝撃を与えてしまうのです。このような弊害がプロのスポーツ選手だけでなく、小中学生にも見られることがあります。ほとんどの場合、無理な練習のしすぎに原因があると思われます。しかし潜在的に、足部の動きに問題のある歩き方や走り方が根底にあると思われます。正しい足部の動きを身につけることがスポーツ障害の予防には最も重要です。そしてどんなスポーツでも共通することですが、まず練習前のウォーミングアップと練習後のアイシング(冷やす)を忘れないようにすることが大切です。

         
その他の骨折(例:剥離骨折・コーレス骨折・骨端線骨折・マレットフィンガー)
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4骨を丈夫に保つには
食事の工夫

骨も血液や皮膚、筋肉と同じように毎日入れ替わっています。新しい骨を作り、また古い骨を壊して血液中にカルシウムを放出しています。血液中には常に一定のカルシウムが必要ですから、骨を丈夫に保つためには、毎日食事でカルシウムを摂取することが必要です。成人1日に必要なカルシウム量は600mgといわれていますので、カルシウムを多く含む食品を心がけて取るように習慣づけることが大切です。

例えば
毎朝、牛乳をコップ1杯飲む
間食には、ヨーグルト、チーズなど乳製品を食べる
ごはん(白米)には、小魚のふりかけやごまのふりかけ、のりなどをかけて食べる
おみそ汁の具には、あげ、豆腐を入れる
食のメニューには1品冷奴(冬場は湯豆腐)を付ける

などなど、自分のまた家庭のライフスタイルに合わせて、無理なく、自然に毎日の食生活の中で続けられる工夫をしていただきたいと思います。

運動(骨に体重をかける)

 食事により体内に入ってきたカルシウムをより多く吸収し骨に沈着させるためには、適度な運動が必要です。骨の中には荷重センサーというものがあり、自分の骨をどの程度強くしなければならないかを敏感に感じ取っています。からだをよく動かす人やからだを使う仕事に携わっている人、また重量上げなど体重の何倍もの力をかけるスポーツをしている人では、骨を強くしなければとカルシウムをたくさん貯めようとします。一方、長い間寝たきりだったり毎日デスクワークばかりで座っていることの多い人は荷重センサーが

“骨は体重を支える程度でよい”と判断しあまり多くのカルシウムを貯めこみません。人間の骨の荷重センサーは全身の体重がかかる踵骨(かかとの骨)でもっとも敏感に働くといわれていますので、1日に3000歩より4000歩、4000歩より5000歩と積極的に歩くことが骨を丈夫に保つために必要です。
 もう1つ日光に当たることも必要な要素ですが、これは普通の生活をしていれば問題はないと考えられます。とりわけ現代のライフスタイルは便利になりすぎたために、骨にとってはあまりよくない環境といえます。しかし、がんばりすぎもかえって健康には逆効果となることがありますので、無理をせず翌日に疲れを残さない程度に体を動かしましょう
糖尿病の予防
 糖尿病の人は骨折しやすく、その頻度は糖尿病でない人の2〜4倍といわれています。それは、インスリンの働きが悪いと骨代謝にさまざまな影響を与え、骨量減少が進行し糖尿病でない人より骨がもろくなりやすいからです。
※糖尿病になると、インシュリンの働きが悪くなりますので骨吸収と骨形成のバランスがくずれ、より骨吸収が進み骨がもろくなります。
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